
「中学で不登校になった子どもが、本当に高校に行けるのだろうか」 — 多くの保護者がこの不安を抱えています。中3の進路選択は、本人だけでなく家族にとっても大きな転機です。「全日制を諦めなければならないのか」「通信制でも卒業できるのか」「内申点が足りないのではないか」 — そんな疑問が次々に浮かびます。
しかし実際には、不登校を経験した中学生の多くが、自分に合った高校を見つけて進学しています。文部科学省の調査では、不登校経験のある中学卒業生のうち約85%が何らかの形で高校に進学しているという結果が出ています。大切なのは「全日制に戻る」ことではなく、「自分のペースで通える学校を選ぶ」ことです。
本記事では、不登校高校進学体験談として、実際に中3で進路選択を経験した5家族の保護者の声をまとめました。学校選びの基準、出願準備、合格までのプロセスを、リアルな視点でお届けします。
高校進学体験談から学ぶ進路選択の基本知識
中3で進路を考えるとき、最初に押さえておきたい基本知識があります。
高校の種類と特徴
不登校を経験した生徒に選ばれている主な高校タイプは以下の通りです。
- 全日制高校(チャレンジ受験):学力に自信があれば再挑戦も可能
- 通信制高校:登校日数が少なく、自分のペースで学習。最も選ばれている選択肢
- 定時制高校:夕方〜夜に通う、少人数制で温かい雰囲気の学校が多い
- サポート校:通信制の学習を補完する民間支援校。週数日通学型
- チャレンジスクール・エンカレッジスクール:都立で不登校経験者を積極的に受け入れる学校(東京都など一部地域)
- 高校卒業程度認定試験(高認):高校に通わず大学受験資格を取得
それぞれの違いは通信制高校選びの完全ガイドや高認試験完全ガイドで詳しく解説しています。
内申点・出席日数の扱い
不登校生にとって最大の関心事は「内申点」と「出席日数」です。
- 通信制高校:多くが書類選考と面接のみ、学力試験なしのケースが多い
- 定時制高校:出席日数を問わない学校が大半。書類審査+面接+小論文が主流
- チャレンジスクール:不登校経験を「不利」にしない選抜方式
- サポート校・通信制併修:学校により条件は異なるが、一般的に柔軟
「内申点が足りないからどこにも行けない」という思い込みは、多くの場合事実と異なります。
出願スケジュールの基本
- 9〜10月:学校説明会・見学会参加
- 10〜11月:志望校を絞り込む
- 11〜12月:出願書類準備
- 1〜2月:推薦入試・一般入試
- 3月:合格発表・入学手続き
中3の夏休みまでには、本人と保護者で進路の方向性を話し合っておくと、秋からの動きがスムーズになります。
高校進学体験談ケース1:通信制を選んだAさん家族(中3男子・小5から不登校)

「最初は私が一番焦っていました」 — Aさん家族の母親はそう振り返ります。
息子のT君は小学5年生から徐々に学校に行けなくなり、中学では完全不登校状態。塾にも通えず、自宅で過ごす時間が長くなっていました。中3の夏、母親は「このままでは高校に行けないのではないか」と不安が頂点に達したそうです。
学校選びのきっかけ
きっかけは、地域のフリースクールの先輩から「通信制でも卒業証書はもらえるよ」と聞いたことでした。それまで通信制を「最終手段」と思っていた母親が、初めて「自分から選ぶ進路」として通信制を捉え直した瞬間でした。
候補に挙げたのは、年に数回のスクーリング(登校日)のみの広域通信制高校2校と、サポート校併設型1校。本人と一緒に学校説明会を回り、最終的にスクーリングが沖縄合宿で実施される広域通信制を選択しました。
出願準備で工夫したこと
- 中学校の担任に依頼して「本人の特性と希望」を伝える調査書を作成
- 面接練習は塾ではなくフリースクールのスタッフと一緒に
- 当日は車で送迎し、本人の負担を最小化
書類選考と15分の面接のみで合格。母親は「合格通知より、本人が『行ってみたい』と言った瞬間が一番嬉しかった」と語ります。
入学後の様子
入学から半年、T君は週1日のサポート校通学と自宅学習を組み合わせて単位を取得。年1回のスクーリング合宿では「初めて自分から友達に話しかけた」とのこと。卒業後は専門学校進学を視野に入れています。
ケース2:チャレンジスクールを選んだBさん家族(中3女子・中1から不登校)
「都立にこんな学校があるなんて知らなかった」 — Bさん家族の母親の第一声です。
娘のMさんは中学1年の人間関係トラブルをきっかけに不登校。中3になっても登校できる日は月に数日でした。母親は私立通信制を中心に検討していましたが、学費の問題で躊躇していたところ、教育相談所で東京都のチャレンジスクールを紹介されました。
チャレンジスクールという選択肢
チャレンジスクールは、不登校・中途退学経験者を積極的に受け入れる東京都立の単位制・三部制(午前部・午後部・夜間部)高校です。学力試験なし、面接と作文と志願申告書で選抜され、入試制度として不登校を不利に扱わない設計になっています。
- 都内に複数校あり、自宅から通学可能な範囲を選べる
- 学費は都立価格(年間約12万円)で私立通信制より大幅に安い
- 単位制で自分のペースで学べる
- 三部制で生活リズムに合わせて時間帯を選択可能
受験対策
- 中学校の進路指導の先生と志願申告書を一緒に作成
- 「学校に行けなかった経験」を素直に書くことを大事にした
- 面接練習は週1回、3か月続けた
- 作文は「自分の言葉で書く」ことを最優先
「うちの子は、なぜ学校に行けなくなったのか、これからどう変わりたいか、自分で考える時間を持てたのが大きかった」と母親は振り返ります。
合格後の現在
Mさんは現在、午前部に在籍中。週5日通学が基本だが、体調に応じて欠席も柔軟に対応してもらえる環境です。「同じような経験をした友達ができたのが本当に大きい」と本人が語っています。
ケース3:定時制を選んだCさん家族(中3男子・中2から不登校)
「定時制って暗いイメージだったけど、見学に行ったら全然違った」 — Cさん家族の父親の言葉です。
息子のK君は中2の中盤から学校に行けなくなり、家ではゲームと読書中心の生活。中3の秋、本人が「夜のほうが調子がいい」と話したことをきっかけに、定時制高校を検討し始めました。
定時制が合った理由
- 起立性調節障害の傾向があり、朝が苦手だった(関連:起立性調節障害と不登校)
- 夕方〜夜の通学なら体調が安定
- 1学年20〜30人の少人数制で人間関係の負担が少ない
- 卒業まで4年制で焦らず進められる
- 学費が安く、経済的な負担も少ない
出願プロセス
- 8月から3つの定時制を見学
- 11月に1校に絞り込み、書類準備
- 推薦入試で出願(中学校長推薦)
- 面接と簡単な学力試験(国語・数学・英語の基本問題)
- 1月に合格通知
「面接では『なぜこの学校に来たいか』を率直に話せたのが良かった」とK君は語ります。
入学後の変化
夕方から登校するスタイルが体に合い、欠席はほぼゼロ。「夜の学校はみんな静かで落ち着く」とのこと。卒業後は専門学校で映像制作を学ぶ予定です。
ケース4:全日制チャレンジに成功したDさん家族(中3女子・中2の1年だけ不登校)
「全日制を諦めなくてもいい場合もあるんです」 — Dさん家族の母親はそう強調します。
娘のSさんは中2の1年間、いじめがきっかけで完全不登校。しかし中3の春、新クラスで人間関係がリセットされ、少しずつ登校できるようになりました。中3の夏には週3〜4日通えるまで回復。
全日制を視野に入れた経緯
- 学力テストでは平均以上を維持(自宅でオンライン家庭教師を継続)
- 「同年代の友達と一緒の高校生活を送りたい」という本人の希望
- 内申点は中3の評価で持ち直し、推薦圏内に到達
- 不登校経験を受け入れてくれる校風の私立高校を発見
学校選びの基準
- スクールカウンセラーが常駐
- 不登校経験者の在校生・卒業生がいる
- 担任との面談頻度が高い
- 体調による欠席への柔軟な対応
オープンスクールで在校生の様子を見て、本人が「ここなら大丈夫そう」と感じた1校に絞りました。
受験対策と合格
- 11月〜2月、塾でラストスパート
- 推薦入試で出願、面接と作文
- 「不登校経験で何を学んだか」を素直に書いた作文が評価された
- 第一志望に推薦合格
「全日制を選んだのは本人。私たちは『絶対に無理してはダメ』とだけ伝えました」と母親は語ります。Sさんは現在、高校で楽しく学校生活を送っています。
高校進学体験談ケース5:サポート校併修を選んだEさん家族(中3男子・小6から不登校)
「通信制とサポート校をセットで考えた」 — Eさん家族の母親の選択です。
息子のHくんは小6から完全不登校。中学校の門をくぐったのは入学式だけ。完全な家庭学習状態だったため、母親は「いきなり通信制で自己管理は無理」と判断し、通信制+サポート校併修を選びました。
サポート校併修とは
- 通信制高校に在籍しながら、サポート校に通学
- サポート校で学習サポート・進路指導・友人関係を補完
- 週3〜5日のサポート校通学が一般的
- 学費は通信制+サポート校で年間60〜100万円(私立全日制と同程度)
学校選びで重視したこと
- 通学日数を本人と一緒に決められる柔軟性
- 少人数制(1クラス15人前後)
- 進学・就職両方の進路指導が充実
- カウンセラーが常駐
オープンキャンパスで複数のサポート校を比較し、最終的に「子どもが自分から『また行きたい』と言った1校」に決めました。
入学後
入学当初は週2日からスタート、3か月後には週4日通学に。「同じような経験をした生徒ばかりで、自分が浮かないのが嬉しい」とのこと。Hくんは現在、大学進学を目指して受験対策中です。
5家族の高校進学体験談に見える共通点

5家族の体験から、不登校高校進学体験談に共通する成功要因が見えてきます。
共通点1:本人の意思を尊重した
どの家族も、最終決定は本人に委ねていました。保護者が「あなたのためを思って」と決めた進路は、入学後に続かないケースが多いそうです。
共通点2:複数の選択肢を比較した
1校だけ見て決めず、必ず3校以上を見学・比較した家族が多数。比較すること自体が、本人の判断軸を作るプロセスでした。
共通点3:中学校・支援者と連携した
担任、進路指導、フリースクールスタッフ、スクールカウンセラーなど、複数の大人が関わることで保護者の不安が軽減され、本人にも安心感が生まれました。
共通点4:学費を早めに確認した
私立通信制は年間20〜50万円、サポート校併修は60〜100万円、都立は年間10〜15万円と幅が広く、進路選択は経済的な現実とも向き合う必要があります。事前に学費を比較したことで「気持ちが折れずに済んだ」という声が多数。
共通点5:本人のペースを守った
学校見学・出願準備・面接練習 — すべて本人のペースに合わせ、無理をさせない。これが「合格後の継続」につながったと、5家族とも口を揃えます。
ZEPメタバースで進路面談・学校選びをサポート
進路選択の場面で、ZEPメタバースの活用が広がっています。

ZEPの活用シーン
- オンライン進路面談:対面が辛い生徒にも安心の面談環境
- 保護者・生徒・教師の三者面談:全員がアバターで気軽に参加
- 同じ進路選択を経験した先輩との対話:卒業生メンターからの体験共有
- 複数の高校を比較するワークショップ:資料を共有しながら討議
- 記録の自動共有:面談内容を保護者にも記録共有
実際の運用方法はZEPでのキャリア相談実践で詳しく解説しています。アバターでの参加は対面緊張を和らげ、本人が話しやすい環境を作る効果があります。「学校説明会には行けないが、ZEPなら参加できる」というご家族も増えています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 不登校だと高校受験で不利になりますか?
A. 学校の選び方次第です。通信制・定時制・チャレンジスクール・サポート校など、不登校を不利に扱わない選抜方式の学校が多数あります。
Q2. 内申点が低くても高校に行けますか?
A. はい。通信制・定時制は内申点を問わない学校が大半です。私立全日制でも書類選考のみの推薦入試がある学校もあります。
Q3. 高校進学に向けた準備はいつから始めるべき?
A. 中3の春〜夏から学校見学を始めるのが理想。秋からは志望校を絞り、出願準備に入る流れが一般的です。
Q4. 通信制高校で大学進学はできますか?
A. はい。通信制高校から国公立・私立大学への進学者は年々増加しています。サポート校併修や予備校との併用が一般的です。
Q5. 不登校高校進学体験談を直接聞ける場はありますか?
A. 各学校のオープンスクール、フリースクールのOB会、不登校親の会、ZEPメタバース上の先輩交流ルームなどで体験談を直接聞けます。
Q6. 学費を抑える方法はありますか?
A. 都立・県立の通信制・定時制・チャレンジスクールが最も安価です(年間10〜15万円)。授業料無償化制度も活用可能です。
Q7. 出願時に不登校期間をどう説明すれば良いですか?
A. 嘘をつかず、率直に書くことを推奨します。「学校に行けなかった経験」とそこから「どう変わりたいか」を自分の言葉で表現することが評価されます。
高校進学体験談から導く進路選択チェックリスト
- 本人の意思を確認した(行きたい学校・通いたい頻度)
- 複数の学校タイプを比較検討した(通信制・定時制・サポート校・全日制)
- 中学校の担任・進路指導と連携した
- 学費を事前に確認し、家計と相談した
- 学校見学・オープンスクールに本人と一緒に参加した
- 出願書類(調査書・志望理由書)を早めに準備した
- 面接練習を本人のペースで進めた
- 入学後のサポート体制(カウンセラー有無等)を確認した
まとめ
不登校高校進学体験談に登場する5家族には、それぞれ違うストーリーがあります。しかし共通しているのは、「全日制に戻る」ことを目的にせず、「自分のペースで通える学校」を本人と一緒に選んだことです。
通信制高校、チャレンジスクール、定時制、全日制チャレンジ、サポート校併修 — どれが正解ということはなく、子どもの状況に合った選択肢が必ずあります。中3の進路選択は不安と希望が交錯する時期ですが、5家族の体験談が示すように、「自分で選んだ進路」は入学後の継続力を生みます。
そして大切なのは、家族だけで抱え込まないこと。中学校、フリースクール、進路指導の専門家、同じ経験を持つ先輩家族 — 多くの大人と力を合わせることで、進路選択の道は必ず開けます。
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参考資料
- 文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」
- 東京都教育委員会 チャレンジスクール公式情報
- 全国通信制高校・サポート校情報